2012年2月11日

ネタ

師匠や先輩に教えて頂くことを、稽古をつけてもらう、それを覚えるために一人で稽古することをネタを繰る、と言う。

部屋に一人で大声でする人、電車の中で呟く人、歩きながらぶつぶつやる人、私は歩きながらです。

昨日の夜道、神社の裏、人通りの少ない道をわざと選び、鳥屋坊主を繰っていた。お経をあげるところで思わず声が大きくなり、気がつくとおっさん二人に行く手を阻まれた。警察官である。職務質問である。不審者である。

私の前を歩くケータイしながら女が通報したらしい。後をつけてくるおっさん、ずっとお経あげてる、ウチを殺すにちがいない。そんなアホな。

こんな時にはすぐにやってくる、頼りになるお巡りさん。言うてる場合か。

わたい、落語家でんねん。ほんならなんでお経あげてるねん。ネタにありまんねん、ウソつけ、お前、痴漢やろ。落語家やっちゅうねん。お前なんか見たこと無いぞ、芸名はなんや。露の団六や。やっぱりウソや、団六はもっと男前でシュッとしとる、お前汚い、ひげだらけや、痴漢、殺人未遂、他人になりすまし、罪は重いぞ。わし、団六や。ほんなら何かやってみい。やってほんまに団六やったらギャラもらうぞ。分かった、やれ、

仕方なく小噺を二つ。どや、ギャラ払え。違う団六やったらもっとおもろいはずや、やっぱりお前、痴漢やろ。ちゃう、団六や。ほんならもっとやれ。やったらあ、これでどや、おもろないなあ。

気がつけば家の前、東灘警察署のすぐ北。鍵を開けているとお巡りさん、なんや井原さんやんか、暗うて分からへんかったわ。かぜ引かんようにね。

かぜ、引いたわい。ギャラと薬代くれ。

4月1日、日曜日は板宿寄席です。山陽板宿下車、北東へ7分、板宿小学校南、立正寺にて。3時開演。飛梅、染太、三喬の各師匠と団六です。三味線は勝正子さん。1500円。最後に抽選会あります。是非御越しくださいませ。

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